なこたび

47都道府県を制覇したnakoが、全国各地の素敵な場所を探し求めるブログ。ドボク方面(道路・橋梁・ダム)もちょこちょこと。

届きそうで、すぐ届かない景色

忘れられない景色がある。それは、四季折々、日本が有している景色を旅先で見た、特定のある瞬間なのだ。
 
2月の瀬戸内海をフェリーに乗って、島々を眺める。高松から小豆島へ。風は冷たいけれど、そこまで強くない。波が穏やかなのも、瀬戸内海の特徴か。小さな島でも、そこに人々の営みがあるのだなと感じる。ずっとフェリーに乗っていたいと思った。

f:id:nakotrip:20200108214318j:plain

 
3月の乳頭温泉乳頭温泉まで使ったのは、ローカルな路線バス。1時間バスを待って、雪に覆われた山の中をバスは走っていく。もちろん木々に葉っぱは残っていなくて、裸の木々がたくましく雪に吹きさらされている。たまに見かける動物の足跡。露天風呂に入りながら見たのは満点の星空。近くから猿が降りてきそうなほど近い自然。もちろん雪景色。おばあちゃんになっても一緒に温泉入りに行こうね、と友人と約束する。
 
5月の知床で見た、雪を被った山とたくましく生きる動物達。険しい山々の中に、道路を切り開いた、北海道開拓団の人々に想いを寄せる。こんなに綺麗な景色と自然が見える道路ということは、自然の中を一から開拓していったということだ。
山形県鳥海山秋田県との境にある鳥海山もまた、5月の頭ではまだ雪を冠していた。平に広がる庄内平野から鳥海山を臨む。どうして雪を冠した山ってあんなにかっこいいんだろう。山の雄大さに震えるようになったのは、ここ1、2年だ。
 
7月の黒部ダム。日本で唯一ここしかないトロリーバスへ乗って、黒部ダムへと向かう。でかい、とにかくでかい。コンクリートの塊から放出される水はしぶきを上げて、虹色に光っていた。人生ではじめてみるアーチ型構造のダム。こんな山の中に、こんなに大きい構造物を作り上げたなんて、正気の沙汰じゃない。苦労したであろう当時の人々の物語は、これからも語り継がれていくのだろう。
建設途中に訪れた八ッ場ダム。昨年の台風の時は、完成直後だったにも関わらず、試験湛水をせずにいきなり本番を迎えた。私の住む地域は、八ッ場ダムによって守られたと言っても過言ではない。建設途中の八ッ場ダム、コンクリートを流し込む途中の段階で、ダムの全貌は見えなかった。それでも、そこで働く車、人、大きな重機、今まで見たことのあるどの現場よりも大きな現場だった。大きさと、迫力が桁違いである。働く人の苦労に心を馳せながら、見学を楽しんだ。ダムカレーはもちろん忘れない。写真で見ると、まるでジオラマ

f:id:nakotrip:20200108214916j:plain

 
8月、祖谷のかずら橋。自然に生えている「かずら」という植物の蔦のみを使用して作られた橋は、徳島県の山奥の秘境に存在する。橋の下は隙間ばかりで、蔦の間を器用に歩いていかなければならない。数メートル下には、激流が走る。かずら橋の造形は見事だったが、それ以上に、その技術を用いて橋を建設する(この場合は、建設というより、創り上げる、と言ったほうがしっくりくるような気がする)技術を持った人々、そしてその技術が継承されていくことのすごさ、大変さを感じた。
 
9月、九州一周中に寄った、通潤橋熊本県の山奥にあり、軽自動車が唸りをありげながらたどり着いたそこには、綺麗な石造りの上路アーチ橋があった。これは昔、農業用水の安定的な確保のために作られた橋だという。今も現役で活動しているそうだ。橋の上を農業用水が流れ、橋の上からダムのように水が落ちて、田んぼへ水を供給する構造になっているという。欄干はついておらず、端っこに寄ると落ちる可能性がある。道の端には彼岸花。石材の組み上げ方が見事で、熊本地震によく耐えてくれたと思った。次は5月に、水が実際に流れているところを見に行きたい。
 
9月とは思えない寒さに震えた奥只見ダム福島県新潟県の県境に立地しており、堤体の上に県境の表示があるという珍しいダムだ。曇っていて、霧がかかっていて、神秘的な雰囲気を醸し出していた。コンクリートは色あせ経年劣化が伺える。船に乗ってダム湖上を探検。周りは森と山に囲まれ、雄大な自然を感じた。奥只見ダムへ行くまでに通るトンネルが、また素晴らしく、どこへ連れていかれるのかというワクワク感と、一抹の不安が混ざった不思議な高揚感を感じた。
 
11月の山中湖の紅葉。赤や黄色が鮮やかで、普通の道路を走っているだけなのに、紅葉のトンネルがあちこちに現れる。普段とは比べ物にならないくらい近くに見える富士山は、すでに雪化粧。東京から見える富士山と、山梨県から見える富士山は、距離感、そしてその迫力がまるで違う。何度も何度も富士山を見たことがあるけれど、あそこまで感動したのは初めてだった。
 
12月の錦帯橋。木造でできた五連アーチ橋。錦帯橋も、昔から何度も架け替えられているという。特殊な木枠の組み方、またそれをアーチ橋として繋げていくことのすごさ、一体どうやって施工するのだろうと、胸がワクワクする。錦帯橋もかずら橋と同じく、伝統技術の継承が必要な橋だ。五連アーチの美しさに胸を打たれた。横からも、中央からも、橋の下からも、どこから見ても美しかった。もう一度見に行きたい。橋脚はもちろん石造り。

f:id:nakotrip:20200108214556j:plain

 

写真も手帳も見ずに、何年も経っているにも関わらず、頭の中に浮かんできた景色。何歳になっても、鮮明に思い出したいし、きっと思い出せるだろう。

まだまだ思い出せる箇所はたくさんあるけれど、それはまた今度。

 

www.tripadvisor.jp

 

トリップアドバイザー「旅リスト」×はてなブログ特別お題キャンペーン #私のおすすめ旅リスト

トリップアドバイザー「旅リスト」×はてなブログ特別お題キャンペーン
by トリップアドバイザー