【千葉県柏市】浅野書店 無期限休業に寄せて
10年以上お世話になっている書店で、特に高校時代は足繁く通っていた。
私が高校生の時、柏駅周辺は書店が充実していた。
パッと考えただけで4.5件はお店の名前を挙げられる。それぞれのお店に特徴があって、立地や品揃えによってその時々で訪れるお店を変えていた。
そんな中でもビックカメラの下にある浅野書店は、別格だった。
他の店舗とは格の違う圧倒的な老舗感、隣のステラおばさんから漂ってくる甘いクッキーの香り、文具売り場が併設されてるあの感じ、最先端のオシャレな書店ではなかったかもしれないけど、なんとなく居心地の良いお店だった。
ステラおばさんのクッキーの甘い香りと、ケンタッキーの油の匂いが混ざった何とも言えない空気感の中にたたずんでいる。慣れると不思議なもので、安心感を覚える。
浅野書店の圧倒的老舗感、感じるのも歴史を知れば当たり前で、なんと創業は大正13年だそう。
(浅野書店の創業は何年になりますか?)
大正13年です。創業90年以上になりますね。柏駅西口から徒歩10分ほどのところに東葛飾中学(現在の千葉県立東葛飾高校)という県内トップクラスの進学校があるのですが、この学校の開校と共に同校の前に開店したそうです。初代社長がリヤカーを引いて教科書などを売りに行っていたのだとか。戦後、柏駅の東口側に移転してきて、昭和48年に都市再開発でスカイプラザビルが建った際に3階に店を構え、10年前のビックカメラ出店の際に、いまの地下1階に移転し今に至っています。
知らなかった…
東葛飾高校と同じ歴史を歩んで来たと考えると、あんな雰囲気の書店になるのもなんとなく納得するような気がする。
柏駅周辺は、駅前のそごうの閉店で一昨年(2016年9月30日閉業)世間を騒がせた。
ネットショッピングが強くなって来ている中、デパートの業績が厳しいと言うニュースも見てはいた。そして確かにそごうもなんとなく閑散としている雰囲気は感じていたが、閉店すると聞いたときは驚いた。
駅ビルとして高島屋があるので、買い物には困らないっちゃ困らないのだが一抹の寂しさのようなものは感じた。
そして未だ(2018年1月時点)に跡地がどのように使われるのかは発表にならない。空っぽになったそごうがそのまま佇んでいる。
碧野圭の「書店ガール」シリーズを読んで、書店を見る視点が変わった。
手作りのPOPを置いていたり、フェアをこまめにやっている書店の裏側には本が好きな書店員さんの努力が詰まっているのだなぁと感じるようになった。
お店が閉店する時の話もあるけれど、きっと店長さんはじめスタッフの方たちは最後まで大変な苦労をされるのだと思う。
私には本を買うことくらいしかできないが、書店で購入できる本ならばネットじゃなくて書店まで足を運んで購入したいと思う。
特に受験期に大いにお世話になった浅野書店さん、無期限休業は寂しいけど、今までありがとうございましたの感謝の気持ちを込めてあと数ヶ月、柏で本を購入する時は足を運ぼうと思います。
浅野書店のブックカバー。普段何気なく使っていたけど、最後となると気持ちも変わる。
普段は付けないけど、最後になるかもだから…とブックカバーを付けてもらった。
追記(2018年2月20日)
今日書店で確認してきたところ、閉店するのは2018年5月20日予定だそう。
あと3か月。きっとあっという間なんだろうな。